レッドウィングをジャングルで履く


レッドウィング

定番中の定番なのであえて紹介するような事は無いと思う。日本にいた頃から欲しかったのだけど、当時高校生だった僕にはちょっと思い切りのいる値段だった。米国では安く手に入るのでいつか買おうと思いつつも買いそびれていた。ある時友人と飲みながらそんな話が出たのだけど、その彼が発掘するときに使ってくれとクリスマスに贈ってくれた。この型は米国内向きにはもう作られていないそうで、ミネソタ出身の彼は帰省した時にわざわざ会社に出向いて入手してくれたらしい。在庫を見つけてくれたのか特別に作ってもらったのか聞きそびれたけれど、嬉しくて毎日のように履いていた。その後しばらく考古学の現場に出る事は無かったのだけど、2年前久々にペルーでの調査隊に参加する機会があり、さっそく履いて行く事にした。
学部生の頃から毎年のように南米で発掘調査隊に参加していたのだけどその度にこのワークブーツ使ってみようかと考えた。購入にはいたらなかったのには理由がある。やはり本革である事とその重さ。調査隊ではドロミテだかスカルパだかの本革の登山靴やワークブーツを履いている友人もいたけれど、こまめにブラッシングしたりミンクオイルを塗り込んだりと手入れがいかにも大変そうだった。街にいる時はそんな手入れも楽しいひと時だけど忙しい現場ではちょっと煩わしい。さらに重い皮革のブーツで動きまわるのはいかにも億劫だった。その頃僕は発掘調査の前後は時間を見つけて南米をバックパック旅行していて、アタカマ砂漠からパタゴニア、アンデスの高山、アマゾンのジャングルといろいろと動き回っていた。環境が大きく変わるので一枚革のブーツで対応できるのかという不安もあった。そんなわけで結局その時々の予定に合わせてNBやナイキのクロスカントリーシューズや軽トレッキングシューズを選んで履いて行っていた。
さて、レッドウィング。リマやクスコの街中、郊外の遺跡を歩いて回るのには最適だった。足首まできっちり保護してくれるし、砂が入る事もない。少々のぬかるみも問題ない。毎日はいても臭わない(重要)。ただこの調査旅行の本番はペルーのアマゾンのジャングル地帯。このブーツには明らかに向かない。若干不安はあったのだけど、友人の気持ちだからと履いて行ったのだが...クレープソールは何処でもすべる。グリップが効かずスコールでぐずぐずになったジャングルを行進するにはまったく不便だ。崖をよじ上る時などずるずるとすべって現地スタッフに何度も助けられた。スーパーフィートのソールを入れていたけれど、長距離には向かないので脚指は豆だらけで爪も剥がれた。現場では毎日のようにマチェテでジャングルを切り開きながらの作業になる。踝上までしかないブーツでは毒蛇や毒蜘蛛から保護しきれないので危ないからそんな靴で現場に出ないでくれと教授に叱られた。一度スコールが来ると2日は乾かない。その後ミンクオイルを塗って...結局クスコで調達しておいたゴム長に履き替える事になった。
もちろん、これは靴が悪いのではなく僕の使い方が完全に間違えていたという話。レッドウィングの素晴らしさは毎日のように履いていてよく知っている。ちゃんと場所を選んで履いて行く事にしよう。砂漠や高地での調査には最適だろう。ソールはクレープソールではなくビブラムに換えたらもっと動きやすくなる。せっかくの贈り物、ちゃんと使いこなして行きたい。そういえばワークブーツでひとつ気になるのがオールデンのインディ•ジョーンズのワークブーツ(撮影の為に作られたモデルだったように思う)。実際に発掘現場で使ってみるとどうなるのだろう。これもいつか試してみたい。(レイダースのオープニングのジャングルシーン。少なくともあそこで使う事はあり得ない事だけは体験した。)

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