設計だろうが論文だろうが、僕は作業をしているときには手元にコーヒーがないとどうにも落ち着かない。ボストンにいた頃は、Newbury にあった大学の建築スタジオ近くのEspresso RoyalやTrident Cafeに、教授にお供して日に何度も通ったものだった。ところが、日本のとある大学の研究室に仕事で引きこもっているとき、いくつか状況が重なって淹れたてのコーヒーにありつくことが難しくて、仕事中はまずい缶コーヒーで耐えなければならなかった。
そこで手に入れたのがこの魔法瓶だ。保温マグカップもいいけど、あれは近場にスタバなどがあっていつでも補充ができる場合に活躍するモノだ。オフィスで使うなら魔法瓶がいい。Stanley社のクラシックボトルは、何十年もその姿を変えることなく作りつづけられていたもので、魔法瓶と言われてまず頭に浮かぶこのカタチは、アラジン魔法瓶のオリジナルともいわれている。一日机のうえに鎮座していてくれても楽しいカタチはまさにアノニマス•デザインの逸品だ。頑丈この上ないステンレスの真空断熱ボトルはその昔米軍でも使われていて、飛行機から前線の兵士へ薬や飲み物を入れて落としたという話があるけど、ふてぶてしいハンマートーンの草色のボディを眺めていると、そんな歴史もあったのかなという気がしてくる。
最新の山専テルモスなんかと比べると、やはり重くて大きくて保温性もいまいちなのだけど、オフィスで使う雰囲気を優先してこちらを選んだ。まあコラードの後部座席に転がしていくなら大きさ重さは関係ない。コンパクトな.47Lモデルでも高さ262mm, 460g、3杯分ほどなので一日これでもつ訳ではないけど、持ち歩くのならこれが限界だろう。この上の1L, 1.9Lのハンドル付きモデルだとピクニックみたいになってしまう(欲しいけど)。100℃のお湯を12時間後でも80℃に保つというから、朝淹れたコーヒーが、一日たっぷり楽しめる。
ちなみにコーヒーはケメックスで淹れているのだけど、もちろんあんなフラスコには保温力は無い。Stanleyは家では保温ポットとしても役立っている。今住んでいる芦屋の街もカフェが少ないのだけど、朝起きたらコーヒーをたっぷりStanleyにいれておくのだ。