イームズDKR

EAMES DKR

6年住んだ中西部の大学街からボストンに引っ越してきたのは2001年の夏。貧乏学生の事なので業者を雇う事も無く、またボストンはあまりに遠くて何度も往復するわけにはいかないので、愛車のVW シロッコ16Vに積めるだけ積み込んでI-90を二日走り続けて1130mile (1820km)の移動というシンプルな引っ越し。そんなわけで家具は引っ越しできなかったので最初に見つけたミッションヒル(治安はあまり良くないけれど家賃が安めでアート学生が多い)のアパートの生活もシンプルきわまりないスタートだった。
学校はすぐにでも始まるので先ずは机と椅子を購入しなければならない。新生活の記念という事もあったのでずっと欲しかったイームズのDKR/ワイヤーメッシュチェアを購入した。パッドを買う予算は無かったのでワイヤーむき出しで長時間座っているとお尻がえらい事になってしまうんだけど、クロームの、エッフェルタワーベースの緊張感がとても気に入っていた(その後知人にもう一脚譲ってもらった)。
さて、椅子がDKRとなるともちろん机もEDU/デスクユニットが欲しくなる訳だけどハーマンミラーによるこの机は学生がおいそれと買えるような値段の代物ではない。でも他に気に入ったものもない。EDUは一ヶ月後無茶な手段で手に入れる事になるのだけど、その間僕の部屋にはDKRが一脚あるきりで、机も無くベッドも無く(同じく気に入ったベッドが手に入らなかった)、板間に南米調査旅行に使うエアマットと寝袋で、勉強は板間に座り込んで生活していた。DKRの上にはルームメイトの子猫が寝ている。こうなるとなんのための椅子なんだか分からなくなるが意地になっていたのだろう。そんなシンプルなスタート。
(チャールズ&レイ・イームズMoMAstoreへ)

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