ハッセルブラッド 500C/M

Hasselblad 500C/M

このところメインカメラにしているのはハッセルの500C/M。建築を始めてから考古学だけをやっている頃とはカメラの使い方が少し変わってきた。建築物やインテリアを撮ったりする機会が増えたし、デザインをやっている人間関係の中で簡単な出版用の写真を頼まれるような事もある。フィールドだと頑丈さと機動性を重視していたけれど、スタジオで三脚を立ててじっくりと撮るようなカメラも必要になってきたわけだ。
僕がボストンに来た頃はデジタルと銀塩が本格的に入れ替わってきた中途半端な時期で、新たにカメラを選ぶのはちょっと難しかった。近い将来デジタル一眼レフがメインになるのは目に見えているけれど、写真の質はまだまだ銀塩の方が良かった。高画質のプロ用デジタル一眼レフはあるけれど、高価すぎたし、中級機を買うならフィルムをスキャンした方がよかった。この機にデジタルに完全移行覚悟を決めるのか、もう一度銀塩カメラを買っておくのか、といった頃だった。
結局、最後の銀塩カメラのつもりで、長く使って行けるなにか決定的なモノを買おうという事にした。F6も考えたけれど、せっかくだから中判以上で、ずっと整備して使い続ける事の出来るマニュアルのカメラにしようと選んだのが500C/M。中判カメラでは定番中の定番のハッセルブラッドの、フルマニュアルカメラだ。潔い6X6の正方形フォーマットで、露出計もついていないが、nFM2でもライカでも普段はGOSSENの単体の露出計を使うので同じ事だ。これまでハッセルを使っていたプロカメラマン達がデジタルに以降しているので中古市場もかなり豊富でレンズや部品を揃えるのも難しくない。一本目のレンズはスタジオ撮影を想定して、ゾナーの150mmを選んだ。
もともとスタジオでじっくり撮るつもりで手に入れたのだけど、頑強なボディは過酷なフィールドでがんがん使うのにも向いている。シンプル極まりない構成で作法さえ間違えなければ壊れるような事もない。以前マチュピチュを訪れた時、肩から2台のハッセルをがらがらとぶらさげて撮影をしていた猛者と会った事もあった。データは中判フィルムをスキャンできるエプソンのスキャナーを使い、デジタルで整理している。フィルムカメラのメイン機材として、スタジオで、フィールドで、長く使って行くことができそうだ。

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