クリスリーヴのプロフェッショナルソルジャー

クリスリーヴ
最近、調査旅行で使うためのナイフを手に入れた。道具としての美しさのある刃物には以前から興味があって、アウトドアショップに立ち寄るときにはナイフ売り場も覗いたりしていた。でもこれまであまり調べたり買い集める気にならなかったのだけど、それはやはり奥の深さから泥沼にはまりそうな危険を感じていたからだ。フィールド調査をする仕事なので実際に使う機会(購入する言い訳)もあるだけに、はまってしまうのは目に見えていたので、ちょっと意識的に考えないようにしていた。これまでフィールド調査やバックパック旅行に出かけるときにポケットに入っていたモノといえば、バックパッカーの定番のオピネルと、ガーバーのマルチプライヤーといったあたり。十分満足していたのだけど、前回アマゾンのジャングルでの調査に参加したときにもうちょっと頑丈なナイフが一本あったほうが良いかなという気になった。これから現地に長期滞在する機会が増えそうな事もるので、ちょっとだけ自制を解いてひとつ探して見ることにした。物欲地獄にはまらないよう、注意深く。
今回手に入れたのはこのクリスリーヴのプロフェッショナルソルジャーという小型のシースナイフ。米軍の特殊部隊訓練過程の卒業生に送られる”ヤーボロー”や”セベンツァ”などそのクオリティに高い評価を得ているクリスリーヴ社と、同ヤーボローやローンウルフ社Tシリーズなどで有名なナイフデザイナーのビル•ハーシー氏、さらに米兵のネットコミュニティであるprofessionalsoldierのメンバー達の三者が作ったというもので、ヤーボローのような大型ナイフのバックアップにもなるEDC(日常携帯)ナイフを追求したものとか。鋼材は定評のあるS30Vでガンコーティングがされており、型としてはドロップポイントだがスウェッジがきっちり切ってあるのはタクティカルナイフとしての一面があるからか。グリップのないフレームハンドルが特徴的で、ハンドルの切り欠きのおかげでバランスはかなり良い。小型軽量で薄手でありながら十分なサイズのブレードで、4mm厚のフレームはかなりハードな使いかたもできる。ナイフをきっちりホールドしてくれるカイデックス製のシースはテックロックに対応するのでどのようにも携帯できる。素材やコーティングはもちろんグリップエッジの面取りなど細かなところまでの作り込みは見事なもので、さすがは過去9年間のうち8回もブレード誌から”最高クオリティ”の称号をえているクリスリーヴとうならせられる。
小指がかからないフルタングのフレームハンドルは不安だったけれど、実際にサーベルグリップを意識して握るとかなりグリップはよい(”正しい”グリップを強要するかもしれない)。ジャングルの雨の中や海辺で使ったりたまに動物を捌いたりと、いろんな使いかたが想定されるので分解掃除の必要のない削りだしのナイフは神経質にならずにすむし、また壊れるような部品がないのもよい。この意味では同クリスリーヴ社のインテグラル製法のシャドウなんかもそのうち試してみたいところ。
嬉しいのは普段持ち歩ける大きさな事だ。シースナイフは頑丈で手入れも簡単で使いやすいのだけど、腰からぶら下げていると目立つので使う場所を選ばなければならない。でもこれだけ薄く控えめなデザインだとあまり気にならない。テックロックで腰に下げると、縦、横位置とも目立つ事無く収まってくれる。べつに武器を隠し持つ趣味はないけれど、やはりこういうモノは人目につかないほうがよい。まあMercharnessなんかで徹底的に隠してしまうと逆にアヤシイ人になってしまうけど。ナイフは武器としての側面もあるのでこういったモノに拒否反応のある人は結構いる。調査現場でも先生方や学生達の目もあるのであまり仰々しいモノはつらい。こういう点ではいかにも昼食にサラミを切るだけですよというのんきな顔つきのオピネルや道具面のマルチプライヤーはとくに人を刺激する事は無いのだけど、本格的なナイフだとちょっと注意したくなる。このPSナイフはシンプルで上品な佇まいで、タクティカルナイフにありがちな禍々しさがないので携帯していてもフォールダーなみに気にならない。それでいて一度取り出すと過酷なフィールドにも対応するブレード、というのはうれしいところだ。
これから実際のフィールドでの使用感想などができるだろう。またこのナイフが登場したのが2008年半ばだけど、最初は会員向けに少数限定発売されていたもので、一般販売されたのはつい最近だ。これから実際に使い込んでいる人達のレビューがいろいろと出てくるだろうから、楽しみにしている。

2件のコメント

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    なんか偶然見っけた。今どちらにお住まいですか?もうボストンには戻られました?

  2. SECRET: 0
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    いかがお過ごしでしょうか。今どちらですか?
    2月にボストンに戻って来ていたのですが、来週から日本ですよ。
    よく見つけましたねえ。結局考古の話をひとつも書いていないモノブログです。実はピストバイク乗りだったとか。

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