15年も米国に住んでいると、”日本に住むならあんなことがしたい、こんなこともしたい”といろいろと考えてしまう。NJSフレームのピストに乗ることはそのうちのひとつ。ボストンのメッセンジャー達の間ではNJSフレーム•パーツともにかなり人気があり、中にはちょっと驚く値段で取引されているものもある。僕が日本人と知ると、手に入らないかと聞くひともいた。わざわざ取り寄せはしなかったけど、日本に住むことがあったら是非乗ってみたいと思っていたのだ。
(組み上げ途中のため写っていませんが、実際はピスト用リアブレーキも装備しています)
兵庫県を拠点とするビルダー、クサカ氏のVIVALOフレームは、競輪選手達から絶大な人気を集め、シェアが20%を超えた時期もあったとか。現在はレース車両として使われていないが、実戦で使われていたフレームが中古市場に多く出回った時期があり、またそれがピストブームにも重なったこともあり、メッセンジャーや自転車好きが手に入れて街乗りにしていることも多いようだ。僕としては地元兵庫ということもあって、是非VIVALOのフレームを手に入れたいと思っていた。
そんなわけで、帰国して最初のお買い物がこの白のVIVALOフレームで、実戦で使われていたものだ。デュラのクランクセットにサンシンプロハブ、ハッタスワンヘッドと基本パーツはNJS規格のものだが、ピラーは美麗なクロモリの雰囲気に合うMICHE Super Type、ハンドルはGTから慣れているNITTOのブルホーンバーにした。もちろんブレーキ穴も開けて前後ブレーキも装備している。
神戸の西、板宿にはVIVALOの自転車ショップ兼カフェ「Comfort Space」がある。以前お伺いした際には、ブレーキを付ける相談に乗って頂き、なんとクサカ氏の工房にも連れて行って頂いた。カリモクの家具が並ぶおされカフェには自転車工房が隣接し、VIVALOを中心にBromptonやSurlyなどひと癖ある自転車が並んでいる。レース志向というより、生活の中に自転車が入り込んでいるような、自転車が大好きな人達が集う店なのだろう。美しい自転車がたくさんあって、自転車好きの素敵なスタッフさん達がいて、料理も酒もある。店にいるとピストや小径ロードに乗った常連達が次々とやってくる。芦屋からは少し遠いが、身近にこんなカフェがあれば、毎日たれ込めてしまうだろう。6月からは、4階建ての倉庫ビルをリノベしたショップに移転するそうである。この素敵空間がさらに広がるとのことで、今から楽しみにしている。