オピネルのナイフ

Opinel

南米の調査旅行やバックパックの旅に出かけるときに必ず持っていくのがパッカーには定番のこのオピネルのNO9。木のハンドルと炭素鋼のブレードをリングで固定するだけの、シンプルなサヴォアの農村で使われている伝統的なナイフだ。高校生の頃にトレッキングに行くときに入手したように記憶しているが随分長い間使っているので定かではない。米国や日本の街中では無用のトラブルになる事があるので持ち出す事はないけれど、旅しているときには大抵ポケットに入っている。
丸く削られた木の柄はしっとりと手になじみ、とても軽いので持ち歩いていてもあまり気にならない。調査地で、昼食のパンやチーズを削るときにはもちろん、ロープや木を切るときにも活躍してくれる。たまねぎやトマトを手にもったままオピネルでみじん切りにして、缶詰のサーディンとレモン汁やオリーブオイルをシェラカップの中でかき混ぜてつまみを作るのは、アタカマ砂漠で夜に調査の仲間達と焚き火を囲んでガトーネグロのワインを空けているときに覚えた技だ。ちなみにサーディンの缶さえもオピネルでがりがりと切って空けてしまうが、これはチリの調査地の村のおばあさんに教えてもらった技。
炭素鋼のブレードは簡素ではあるけれどきちんと研げば素晴らしい切れ味があり、ちょっとタフな使い方にも十分耐えてくれる。ペルーの農夫に売ってもらったうさぎを捌いた事もあるし、チリ軍の友人とリャマを狩ってバーベキューをしたこともある(もちろん狩るのはオピネルではなく銃だけど)。友人はこれ一本で巨大なリャマをするすると捌いてくれ、見ていて惚れ惚れとする手技だった。魚を捌くのはちょっと自信はあるけれど、さすがにこれは見とれているしかなかった。
ガーバーのマルチプライヤーなど、もっと現代的な、あきらかに頑丈で使い勝手のよいナイフもいろいろと使っているけれど、この簡素なオピネルが一番稼働率が高いかもしれない。長くつかっているとブレードががたついてくると聞いたけれど、今のところなんの問題もなく使えている。何度も修理したり買い換えたりして使い続けていきたいナイフだ。もちろん、ラブレスのダブルヌードのドロップハンターのような業物を腰に下げて現場にでるのも憧れるけれど、それでも、やっぱり素朴なオピネルはポケットに入っているのかもしれない。
(キャプテンスタッグ(CAPTAIN STAG) オピネル フォールディングナイフNO.9(ストッパー付))

1件のコメント

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    ほんと、あなたらしいブログですねー。モノを撮る写真がキレイ。愛着が伝わってきます。
    でも、予備知識なしの私は、読んでたら意味わからなくなって眠くなってきた(笑)
    また覗きにきまーす

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